B型事業所でのトラブル例とその対処法についてCompany Information
障害者の方が働くことを支援するための「就労継続支援B型事業所」は、雇用契約を結ばずに障がいを持つ方が働くことを支援してくれる施設ですが、利用者間や支援員とのトラブルになることもあります。
トラブルに遭っても誰に相談してよいかわからずに、泣き寝入りしてしまう方も多いでしょう。
そこで、今回は就労継続支援B型事業所を利用する方に向けて、B型事業所でよくあるトラブルについて、支援員とのトラブル・利用者同士のトラブルなど、さまざまなトラブルの事例や解決方法についてご紹介していきます。
これからB型事業所を利用しようと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
B型事業所における「よくあるトラブル」は?
ここからは、B型事業所におけるよくあるトラブルとして、支援者と利用者間のトラブルや、利用者間の実際のトラブルなどそれぞれの原因を見ていきましょう。
A型とは異なり雇用契約は結んでおりませんが、支援者とのトラブルは事業所によっては起きているようです。
支援員と利用者のトラブル
まずは、支援員(職員)と利用者によるトラブルの原因を見ていきましょう。
支援員が高圧な態度
B型事業所の支援員の方が、利用者に対して高圧的な態度をとることがあります。支援員も人間なため、一時的な感情や虫の居所が悪い時など、高圧的な態度を取ったり、面倒な態度を取ったりすることもあります。
しかし、このような態度を取ること自体、支援員の方や事業所に問題があるため、高圧的な態度を取る支援員がいる事業所は問題がある事業所と言えますが、万が一、このような事業所や支援員に遭遇した場合には、誰にも相談できずに高圧的な態度を受け入れながら通所するという方もいるでしょう。
利用者によって態度が違う
高圧的な態度はしなくても、明らかに利用者ごとに対応内容が異なったり、態度が異なったりするといったこともあります。自分と波長が合う利用者には好意的な態度を取り、自分と合わないと思う利用者や、気に入らない利用者には笑顔も見せないといった態度を支援員の方がとる場合があります。
これは、一部の支援者であり、一部の事業所にはなりますが、このような事業所に通所している利用者は、苦痛の日々を送ってしまうことになるでしょう。
利用者を無視する
態度が違うだけではなく、明らかに無視されるというケースもあります。話しかけられたり質問をされても聞こえないふりをしてその場から離れたり、一部の利用者にだけ挨拶をしないといった態度をする支援者も中には存在します。
あってはならないことですが、学校でも教育者からのいじめや無視があるように、B型事業所においても、残念ながら一部の事業所ではこのようなことが起きてしまうでしょう。
利用者が自分の意思を伝えられない
高圧的な態度や、無視されてしまうと、利用者の方は質問することや相談に乗ってもらうことさえできずに孤立してしまうでしょう。そして、自分の意思を伝えられないまま通所することにより、そのうち嫌になって辞めてしまうケースもあります。
元々、障がいを持つ方が通うB型事業所となるため、障がいの内容としてうつ病など心の病気を患っている人も少なくありません。
そのような利用者の方が自分の意思を伝えられなかったり、意見が言えなかったりするというトラブルに発生することもあります。
目標にあった支援が受けられない
支援者の方が利用者の目標に合わせて支援ができていないというケースもあります。就労継続支援という名称からわかるように、B型事業所は障がいを持つ方が仕事を継続的にできるように支援する立場にあります。
仕事を提供するという一般的な事業会社の役割だけではなく、障がい者の方に継続的に仕事してもらうように自立支援を行ったり、就労継続の支援を行ったりすることが必要ですが、利用者の目標に沿って支援をしていない支援員に不満が出てトラブルに発展するというケースもあります。適切な支援を受けられないことになり、利用者のストレスが溜まってしまうでしょう。
利用者と利用者のトラブル
支援者と利用者のトラブルだけではなく、利用者同士のトラブルも発生することがあります。
利用者同士のけんか
利用者間で意見が合わないことや、ちょっとした行き違いでけんかなどのトラブルに発生することがあります。利用者間においてのいじめやパワハラ、言い合いなどによって事業所の雰囲気が悪くなったり、利用者にとって居心地が悪くなってしまったりすることもあります。そのような状態では、就労継続をするのは難しくなることもあるでしょう。
利用者の悪口・陰口を言う
利用者同士のトラブルの中には、利用者の悪口を言ったり陰口を言ったりするといったトラブルもあります。人が複数人集まる場所にはそれぞれ気の合う人や相性の合わない人もいたりしますが、それでも職場の仲間として協力し合って生活を送ることが一般的です。
しかし、中にはそのような協力体制が無かったり、人の悪口や陰口を言う人がいたりします。B型事業所においても、そのような人が存在するケースがあり、利用者同士のトラブルにつながることがあります。
一部の利用者が高圧的
利用者の方の中には、わがままで自分の意見を通そうとする人もいるでしょう。自分のことしか考えず、自分の立場や環境を良くするために、人に高圧的な態度を取って、いわゆる「マウント」を取りたがる人もいるでしょう。
このような一部の利用者によって、周りの人が不快に思ったり、喧嘩になったりするなど、利用者同士のトラブルに発展するケースもあります。
利用者同士のコミュニケーショントラブル
障がいを持つ人の中には、心の障がいを持っている人もいます。B型事業所に通所する方の中にもこのような心の病を抱えている人もいるため、うまくコミュニケーションが取れないという方もいるでしょう。
利用者同士のコミュニケーションがうまく取れない場合にも、利用者間でのトラブルに発展することがあります。利用者同士のコミュニケーションが円滑にいくよう、支援者の方々がサポートをしてくれますが、支援者が見えていないところや、気づかない形で利用者同士のトラブルになってしまうこともあるでしょう。ほんの些細な行き違いがトラブルを生んでしまうこともあります。
工賃についてのトラブル
次に、B型事業所のトラブルの中でも、工賃に関するトラブルについて確認していきましょう。
工賃が安すぎる
B型事業所に通所する方のトラブルの中には、工賃に関してのトラブルもあり、工賃のトラブルで多くあるのが、工賃が安すぎるといった原因があります。
一般事業会社の給料とは異なり、B型事業所は時給換算しても一般労働者の最低賃金とはかけ離れた時給しか受け取ることができません。
中でも、B型事業所の平均的な工賃よりさらに下回る工賃を提示する事業所も存在します。雇用契約を結ぶことがないB型事業所では、最低賃金という概念がないため、このようなことが起こり得ますが、あまりにも安すぎる工賃の場合には、利用者と事業所とのトラブルにつながることがあります。
給料が遅れる
事業所の中には、支払われるはずの工賃が予定日に振り込まれていないというケースもあるでしょう。一般事業所と同じように工賃はその事業所ごとに決められた日に支払われるはずですが、その日になっても振込されず、利用者側で生活する上で支払わなければならない家賃や光熱費などの生活に必要な支払いができずに、トラブルになるケースがあります。
支払いが遅れるような事業所はできれば避けた方が良いでしょう。通所する前には気づけないため、そのようなことが起こった際には、通所する事業所を変更することがおすすめです。
労働条件についてのトラブル
次に、労働条件においてのトラブルを見ていきましょう。
労働時間が長すぎる
労働時間が長すぎるといったトラブルもあります。工賃が安いという部分にもつながりますが、できるだけ多く労働をさせて、賃金は安くしたいというのは、どのような事業所でも同じですが、一般事業者は最低賃金など決められているルールをもとに実施されますが、B型事業所ではそのようなルールがないため、工賃は自分たちで決めて良い形になります。
労働時間を長くして賃金を安くすることで、それだけ事業所は利益を得ることになります。このような利用者のことを考えられないような事業所はやめた方が良いでしょう。
労働環境が悪すぎる
労働環境に問題があるような事業所も、トラブルになる可能性があります。例えば、パソコンを利用した労働にも関わらず、パソコンがかなり古いもので全然使えないようなものを支給されたり、温度が高い・低いなど環境そのものが、仕事ができるような状態のものではなかったり、掃除や整理がされておらず物置のような状態で仕事をさせられたりと、労働環境が悪くてトラブルにつながることもあるでしょう。
その他、にもさまざまな労働環境を確認しておきましょう。
B型事業所でのトラブル解決法
次に、B型事業所でのトラブル解決方法を見ていきましょう。
B型事業所でトラブルに巻き込まれた際には、まずは周りに相談することがおすすめです。B型事業所のスタッフの方に相談することはもちろんのこと、そのスタッフである支援員さんとの間でトラブルがある場合には、事業所を運営する法人に直接連絡をしたり、自治体の福祉相談窓口に相談したりするなど、周りの方に相談することが望ましいです。
トラブルが続くとそのうちエスカレートして虐待やいじめといったトラブルに発展するケースもありますので、なにかおかしいなと感じたら、すぐに周りの方に相談するようにしましょう。
B型事業所では「いじめ」は存在する?
残念ながら、一部のB型事業所において、いじめは発生する場合があると考えられます。学校や職場のような複数の人が集まる場所では、気が合わない人や考え方が違う人など、さまざまな人がいます。
その中で、グループを作りたがる人や、気に入らない人をのけ者にしようという考えの方は、どのような場所にも存在します。
大切なのは、そのようないじめに遭った場合や、いじめを見かけた際には、支援員の方に相談したり、自治体の福祉相談窓口に相談したりして、解決することが望ましいでしょう。
もし、解決しない様であれば、違う施設へ変更することも視野に入れると良いでしょう。
トラブルに巻き込まれないためのB型事業所の選定方法
最後に、B型事業祖所でトラブルに巻き込まれないための選定方法をご紹介していきます。
ポイント1:事業所の雰囲気が合っているか
B型事業所を選択するときには、まずは必ず体験をしましょう。体験することで事業所の雰囲気やスタッフの方の対応、通所している方々がどんな人か確認できるため、自分が通うイメージができるか確認できます。
その時点で合わないと思ったB型事業所に通っても、すぐに辞めてしまったり行かなくなってしまったりするため、必ず体験に参加したり、説明会に参加することがおすすめです。
ポイント2:体調に合った勤務時間が選べるか
B型事業所に通所する方々は、障害を持つ方となるため、障がいや病気の状況が常に良いとは限りません。体調が悪いときなど無理して通う必要がないのか、作業は必要なのか、勤務時間が選べるのか、希望があるときは在宅でもできるのかなど、勤務体制などを確認することがおすすめです。
体調に合わせて通所できない事業所では、無理して通うことになり、結局辞めてしまうことにつながってしまうため、体調が悪い時にはどのような対応をしてくれるのかなど、事前に確認しておくようにしましょう。
ポイント3:事前に労働条件や工賃を確認
事前に労働条件を確認することも必要です。どのような仕事内容なのか、どれくらい労働しなければならないのか、工賃はどれくらいもらえるものなのか、はじめに確認しておかなければ、後々不満につながり、労働していることが嫌になってしまうこともあります。
一度通所してから辞めてしまうと、ほかのB型事業所を探したり、通い始めたりするのがおっくうになってしまうこともあるため、B型事業所に通所しようと検討している際には、労働条件などもしっかり確認おきましょう。
また、送迎のサービスなどはあるのかなどの確認も必要です。
B型事業所でトラブルに遭ったときは周りにまずは相談しよう
B型事業所に通所している際に、いじめや陰口、支援員から高圧的な態度や無視されるなどトラブルに巻き込まれた際には、まずは周りに相談するようにしましょう。ほかの支援員さんに相談することや、運営している法人に直接相談すること、そして自治体の相談窓口などを利用することがおすすめです。
トラブルに巻き込まれないためにも、B型事業所は信頼性のある所を選ぶようにしましょう。